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楽器を売ると決めたとき、次に迷うのがどこに出すかです。
先に、正直に書いておきます。
自分は、買取業者を使ったことがありません。
だから「A社が一番高かった」という比較はできません。そういう記事を探している人は、ここで引き返してもらって大丈夫です。
ただ、自分は楽器店に10年いて、査定する側にいました。だから、こちらは書けます。
- なぜ査定も出張も無料なのか
- 地元の楽器店と、全国チェーン。どう使い分けるか
- 相見積もりを、査定する側はどう思っているか
- 業者に出さないほうがいい楽器
金額のランキングではなく、仕組みの話として読んでください。
なぜ、査定も出張も送料も無料なのか
買取業者の広告を見ると、だいたいこう書いてあります。「査定無料」「出張無料」「送料無料」。
人を家まで寄越して、見て、値段をつけて、それで0円。怪しいと思う人がいると思います。
理由は単純です。
中古を買い取って売るほうが、新品を売るよりはるかに利益率が高いからです。
新品の楽器は、店の取り分が決まっています。メーカーから仕入れて、決まった値段で売る。同じ商品が全国の店に並んでいるので、値段でしか勝負できません。
中古は違います。仕入れ値を自分で決められます。そして売値も自分で決められます。ここが決定的に違います。
さらに、楽器には特殊な事情があります
ほとんどの商品は、新しいほど価値があります。楽器は逆のことが起きます。
ヴィンテージという言葉があるとおり、古いほうがいいとされる風潮が根強くあります。年代物のギターやアンプに、新品より高い値段がつくことは普通にあります。
そしてもう1つ。
一点ものが在庫に入るのは、店にとって大きなメリットです。
新品は、隣の店にも同じものがあります。中古の一点ものは、その店にしかありません。「あの店に行けば面白いものがある」と思ってもらえるかどうかは、中古の棚で決まります。
だから業者は、査定にコストをかけます。無料なのは善意ではなく、それでも十分ペイするからです。
これは悪い話ではありません。売る側は、遠慮なく無料の査定を使えばいいという話です。
楽器店にいた頃、買取業者をどう見ていたか
正直に書くと、特に気にしていませんでした。
「客を取られる」とも思っていなかったし、敵視もしていません。棲み分けができていたからだと思います。
この記事で買取業者を悪く書くつもりはまったくありません。使うべき場面があるサービスです。ただ、向いている場面とそうでない場面があります。そこを分けます。
地元の楽器店か、全国チェーンか
ここがこの記事で一番言いたいところです。
多くの人は「どっちが高いか」で選ぼうとします。でも、分かれ目はそこではありません。
これからも楽器を触るのか。もう触らないのか。そこで決まります。
| あなたの状況 | 向いているのは |
|---|---|
| これからも楽器を続ける/また買うかもしれない | 地元の楽器店 |
| もう触らない/平均的な相場で十分 | 全国チェーンの買取業者 |
続けるなら、地元です
売るときも買うときも、本音を言えば実際に手に取って確かめたいんです。そして店の側も、手に取って確かめてもらいたいと思っています。
写真と説明文だけで数万円のものをやり取りするのは、売る側にとっても買う側にとっても不安です。
そしてもっと大きいのが、そこで繋がりができることです。
一度売り買いした店とは、顔見知りになります。次に何か買うとき、個人的に情報をもらえるようになります。「今度こういうのが入りますよ」という一言は、金額に換算できません。
ここは、以前チケットの売り方の記事に書いたことと同じです。音楽をやる人との付き合いは、そのまま金額になります。
もう触らないなら、全国チェーンで十分です
バンドを辞めた。もう弾かない。押し入れに置いておく理由もない。その場合は、全国チェーンで問題ありません。
平均的な相場が出て、家まで取りに来てくれて、その場で現金になる。関係を作る必要がないなら、これが一番早いです。
特に、近くに楽器店がない地域に住んでいる人には、出張買取と宅配買取は現実的な選択肢です。持ち込む先がそもそも無いのですから。
楽器以外の機材もまとめて手放すなら
バンドを辞めるとき、出てくるのは楽器だけではありません。アンプ、オーディオ機器、録音用の機材、カメラ。気づくと部屋にいろいろ溜まっています。
この記事では「2社以上で比べてください」と書いてきました。なので、比べる相手として2つ挙げておきます。性格が違うので、両方に出すと差が見えます。
❶ 機材類をまとめて出したいなら
バンドを辞めるとき、出てくるのは楽器だけではありません。アンプ、オーディオ機器、録音用の機材、カメラ。気づくと部屋にいろいろ溜まっています。
そういう場合、オーディオ・楽器・カメラを専門に扱っている業者のほうが話が早いことがあります。何でも扱う総合リサイクル店だと、機材の価値が分かる人が来るとは限らないからです。
ただし、対応エリアが限られています。全国どこでも来てくれるわけではないので、自分の住んでいる地域が対象かどうかを先に確認してください。そこを確かめずに申し込むと、二度手間になります。
❷ もう1社、比べる相手として
楽器のほか、和楽器や管楽器まで幅広く扱っている出張買取です。楽器以外の物も一緒に片付けたいときは、こちらのほうが向いています。
対応エリアや、出張・宅配のどちらになるかはそれぞれの条件を確認してください。ここに書いた情報が古くなっている可能性もあります。
両方に出して、金額を比べてください
2社挙げたのは、どちらかを勧めるためではありません。
比べるための2社です。1社目で決めないでください。
この記事の冒頭に書いたとおり、自分はどちらも使ったことがありません。だから「こっちが高い」とは書けません。書いたら嘘になります。
査定は無料なので、両方に出しても、出す側のコストはゼロです。そのうえで高いほうを選べばいい。断っても構いません。
比べないまま1社目の言い値で売るのが、一番損をします。そして、そこに前の記事で書いた「掃除する・付属品をそろえる」を足せば、もう少し上がります。
相見積もりは、遠慮しなくていいです
「他の店とも比べます」と言うのは気まずい、と思っている人がいます。
査定していた立場から言うと、自分は特に嫌な感じはしませんでした。当たり前のことをしているだけです。
ただし、これはあくまで個人の感覚です。会社としては、当然その場で獲得したいはずです。そういう空気になることもあると思います。
それでも、数万円の話です。気まずさで数万円を捨てるのは、割に合いません。
最低でも2社。できれば3社に出してから決めてください。
無料なので、出す側のコストはゼロです。使わない理由がありません。
業者を選ぶ基準は、口コミと実績です
自分が選ぶなら、見るのはここです。
- 口コミ
- 実績——特に、知り合いが実際に使ったときの感想
広告の「業界最高値」という文字ではありません。実際に使った人が、どういう対応をされたかです。
バンドをやっていれば、周りに楽器を売った人が必ずいます。その1人に聞くほうが、比較サイトを10個見るより早いです。
「金額を叩かれる」という話について
ここは慎重に書きます。
強引に安く買い叩かれた、という話を聞いたことはあります。ただし——
自分自身が遭遇したことはありません。伝聞です。
だから「気をつけろ」と煽るつもりはありませんし、特定の業者を名指しすることもしません。大半の業者は普通に商売をしています。
そのうえで、知っておいたほうがいいことを1つだけ書きます。
自宅に来てもらって売った場合、あとから解除できる制度があります
出張買取のように、業者に自宅へ来てもらって売る取引には、法律上のクーリングオフ制度が設けられています。一定期間内であれば、契約を解除して品物を返してもらえる仕組みです。
その場の勢いで手放してしまっても、すぐに諦める必要はないということです。
ただし、期間・条件・対象になる取引の範囲は細かく決まっています。そして自分は法律の専門家ではありません。
この記事を根拠にしないでください。実際に困ったときは、消費者庁や、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン 188)に必ず確認してください。相談は無料です。
業者に出さないほうがいい楽器
最後に、これだけは書いておきます。
思い入れのある楽器は、出さないほうがいいです。
金額の話ではありません。いくらで売れても、後悔するからです。
自分もこれまでに何本も楽器を売ってきました。そのときは金が要ったので、正しい判断でした。それでも今は、売らなければよかったと思っています。
同じ型番をもう一度買っても、戻ってきません。楽器そのものは買い直せますが、そこに付いていた時間は買い直せません。
全部売る必要はありません。1本だけ残すという選択があります。この話はバンドを辞めるとき、機材はどうするべきかに詳しく書きました。
まとめ
- 査定・出張・送料が無料なのは、中古買取のほうが新品販売より利益率が高いから
- 楽器は古いほうが価値を持つことがあり、一点ものは店の強みになる
- これからも楽器を触るなら地元の楽器店。繋がりが後で効く
- もう触らないなら全国チェーンで十分。近くに店がない人にも現実的
- 相見積もりは遠慮しなくていい。最低2社、できれば3社
- 選ぶ基準は広告ではなく口コミと、知り合いの実体験
- 自宅に来てもらう取引にはクーリングオフ制度がある(詳細は必ず公的機関で確認を)
- 思い入れのある楽器は出さない。金額では取り返せない
楽器店に10年、飲食に20年いて、今もバンドをやっています。査定する側も、売る側も、両方やってきました。→ プロフィール

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